「美しい」世界についての備忘録

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「森の中で・a&b」キノの旅Ⅰ巻プロローグ&エピローグ

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今回はキノの旅Ⅰ巻のプロローグ・エピロローグについて語っていきたいと思います。

この記事はネタバレを多く含むので、ご注意ください。

 

 

プロローグ「森の中で・b」-Lost in the Forest・b-

エピローグ「森の中で・a」-Lost in the Forest・a-

 

 

【内容】

夜の森の中でエルメスが、人間が旅をする理由について、寝ようとしているキノに問いかける話。

キノはそれに答えるが、エルメスによく分からないと返される。

それに対し、キノが本当は自分でもよくわかっていないのかもしれない、それを見つけるために旅をしているのかもしれないと言ってこの話は終わる。

 

 

【好きなセリフ】

「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか?ものすごく汚い人間ではないか?なぜだかよく分からないけど、そう感じる時があるんだ。
……でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なものの様に感じるんだ。とても、愛しく思えるんだよ……。
ボクは、それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしている様な気がする」

 

「止めるのは、いつだってできる。だから、続けようと思う」

 

 

【感想】

私は、キノが旅をする理由を自身の言葉で語るこの話がとても好きです。

まさにシリーズの最初にふさわしい、読者にキノの〈旅に関する考え方〉が伝わる話だと思います。

そしてエルメスがキノの言ったことがよくわからないといい、キノも自分も実はわかっていないのかもしれないというやりとりが、キノとエルメスらしくてすごく好きです。

何かを考えることはするけど、無理に結論は出さないという、このシリーズに一貫してみられるキノの考え方がここでもみられるのですね。

 

 

好きなセリフについて

 

 

『自分がどうしようもない奴だと感じた時は、ほかのものが美しく見える』

という旨のセリフは、落ち込んだときに自分の殻にこもりがちな私の視野を広げてくれます。

旅には出なくても、ちょっと遠出して、緑が豊かな大きな公園を散歩すると、太陽に向かって咲き誇る花や空の青さが普段より美しく、季節が変わっていく様が普段より愛おしく感じられます。

そうしたことを思い出させてくれるこのセリフが私は大好きです。

きっと、実際に旅をして様々な建造物や美術品などの文化に触れたり、新しいものを食べたいすることは、もっと刺激的で世界をより美しく見せるのでしょうね。

 

 

そして「止めるのは、いつだってできる。だから、続けようと思う」というセリフもとても好きです。

私たちは日々生きていくうえで、様々なやらなければいけないことを背負っています。ですがそれとは違う、誰かに強制されたものではない、自分がやめたいと思ったら止められる、言い換えれば自発的にやろうと思ったものだからこそ続けていきたい、という思いがこのセリフには込められているのではないかと私は思いました。

 

私も自分のなにかをやりたいという意欲を大切に、人生という旅を続けていきたいですね。